隣の女

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今日は出張先からの戻りで札幌から羽田に向かっております


私は貧乏症なのでいつも国内線は普通席で移動するようにしている

 

そして、普通席ならではの楽しみがある

 

それほ、隣に可愛い子が座らないかと、隣の席が埋まるまでドキドキして待っているのである

 

これがいつもの楽しみだ

 

ちなみに、その勝率はおよそ3パーセント以下であり、ほとんどの場合、おっさんと隣になるケースが多い


おそらく隣のおっさんも私が隣に座っているので大変がっかりしているだろう

 

また、可愛い子が座ったところで、なにもするわけでもない


ただただ、俺の隣には可愛い子が座っていまーすという自己満足とその空気感に酔いしれるだけなのである

 

 

 

 

そして今日は隣には女子が座った

 

髪はショートカットで、ブルーのストライプのシャツを身に纏い、デニムを履きこなし、ラフなスニーカースタイル


それはシリコンバレーベンチャーの社長をほうふつとさせるような無頓着な着こなしである


そして、ガリ勉っぽい眼鏡をかけ、クリスピークリームの紙袋とポロポロのリュックを抱え機内の私の席の隣に腰をかけた

 

これはアタリなのか?

 

 

しばらく自問自答した

 

 

 

これはもしかして小アタリ?

 

 

自己満足は得れるであろうか?

 

空気感に酔いしれることができるのであろうか?

 

もはやその答えは出ないまま、与えられた環境になるべく順応しようとし、そして、擬似的に酔いしれることにした


彼女は齢25くらいだろうか?

 

多分彼氏はいないであろう、うん

 

愛嬌をつけるため〈眼鏡ちゃん〉と読んでみよう

 

そんなことを想像した私はいつの間にか私が創造の元作り上げた彼女の素朴な魅力に引き込まれ、やがて話しかけたい衝動に駆られてくる…


うーん話したい…


迷惑でも構わない…


抑えきれない衝動が私の背中をついにおし、勇気を持って行動する結果といたった

 

『クリスピークリームをひとつもらって良いですか?』

 

 

なにを言ってるんだ…

 


そもそも見ず知らずの他人に大事そうに抱えているドーナッツをくれるわけがない

 


さらに中身がドーナッツであるという保証は一切ない

 

 

しばらく沈黙が流れた…

 

 

〈眼鏡ちゃん〉は動揺しながらも優しく返答してくれた

 

 

『これはお土産なんです。すみません』

 

え?お土産?誰に?

 


周りに友達など居なそうな風体の彼女に私はさらに質問を投げかけた

 

 

『お土産なんですね。すみません。食いしん坊で…ご家族へのお土産なんですか?』

 

もはや嫌味にしか聞こえない…


なんて俺はいやらしい人間なんだ

 

『旦那さんにですよ』

 

 

旦那?


結婚してるのか?


オーマイガー!!!

 

彼氏はいなかった


でも、すでに結婚をして他の男の伴侶となっている


もしかして昔は相当可愛かったのか?

 

人の女だと思うと急に綺麗に見えてくる

 

さらに、人妻という響きがますます私の興味をそそる

 

もしかしてあの少しぽっこりしたお腹は、妊娠初期のお腹?

 

どちらにしても、この先この関係は進みそうにない

 

クリスピークリームも食べられそうもない

 

さあ、まだ到着まで1時間ほどある

 

 

おやすみなさい🌙